今回は
①体の調子が悪くなったらどうするか?
②巷によく聞く●●師の違い
③理学療法士の特徴
理学療法士である僕自身の経験を交えてお伝えしていこうかと思います。考え方は諸説あるので必ずしもこうでは無いかもしれませんが、個人の見解としてお話しできたらと思います。
①体の調子が悪くなったらどうするか?
例えば色んな理由で、腰が痛くなったとします。まずあなたならどうしますか?
個人的にはいきなり民間療法に行くのはやめた方がいいと思います。例えば骨折や靭帯損傷があった場合、第一にとるのは固定と安静だからです。これは医師にしか診断できません。また診断のために体の中をみるためのレントゲンやCT、MRIといった検査機器があるのはやはり医師のいるところだけです。
つまり最初に行くところは病院、クリニックだと思います。そこから確定診断をもらう事が最初のステップです。中に問題がある場合は医師に、治療をゆだねましょう。ポイントは熱を持っている、腫れている、赤くなっている事。痛み方がズキズキするような鋭いはっきりした痛みの時。このあたりは病院に行くのが無難です。
中に問題がなく、痛みがぼんやりと鈍い痛みに代わってきたら、治療の選択肢が変わります。ポイントは体を動かしていきましょうと言われること。つまり動かしてもいい段階という事です。そのまま病院でリハビリを言われる場合もありますし、自分で治療を選択していくこともできます。
②巷によく聞く、●●師の違い
先ほどの選択肢を選ぶ中で、色々な場所があります。クリニック、●●院、●●サロンなどなど。職種も様々です。
思いつくあたりを上げてみました。
・鍼灸師
・あんま-マッサージ師
・柔道整復師
・カイロプラクティック
・整体師
・理学療法士、作業療法士、言語聴覚士
解説してみます。結論が見たい方は飛ばしてもOKです!
・鍼灸師
この中で唯一、体に直接作用する道具を使う職種で鍼(はり)または灸(きゅう)を使った治療を行います。
つぼや筋肉に使用し自然治癒力を高め、病気の治療や予防、健康回復を行う医療技術職です。国家資格になります。 はり師ときゅう師は別々の資格ですが、両方を同時に受験する場合が多く、また両方の施術を行う人が多いため鍼灸師と呼ばれています。また医師の同意書があれば①神経痛、②リウマチ、③頚腕症候群、④五十肩、⑤腰痛症、⑥頸椎捻挫後遺症の6疾患に関しては保険診療が可能です。
・あんま-マッサージ師
あんま師、マッサージ師と別れていますが、同列で資格を取ることが多いため、一まとめにしました。こちらも国家資格になります。東洋医学の知識を基礎として器具を使用せず、問診や検査法で患者さんの身体の不調の原因を特定し「なでる」「揉む」「押す」「さする」などの動作を直接患者さんの身体におこなうことで血行を改善し、不調を和らげます。
「筋麻痺」「関節拘縮」に対して保険診療が可能です。具体的には骨折や手術後の障害や脳血管障害、例えば脳梗塞などの後遺症の方が対象となります。
・柔道整復師
接骨院や整骨院では、柔道整復師によって、骨・関節・筋・腱・靭帯などに加わる外傷性が明らかな原因によって発生する骨折・脱臼・打撲・捻挫・挫傷などの損傷に対し、手術をしない「非観血的療法」によって、整復・固定などを行い、人間の持つ治癒能力を最大限に発揮させる施術を行っています。※日本柔道整復師会引用
国家資格として扱われており、整骨院、接骨院と呼ばれる施術所を開業できます。接骨院や整骨院での施術には、健康保険や生活保護法による医療扶助、労災保険や自賠責保険が適用可能です。打撲・捻挫・挫傷が対象で医師の同意は必要ありません。骨折、脱臼の整復は医師の同意が必要になります。
・カイロプラクティック
1895年にアメリカが発祥。世界中に認められた資格です。ただし日本は民間資格の位置づけとなっています。保険診療はできません。
”カイロプラクティックは身体の構造(特に脊椎)と機能に注目した手技療法を特徴とするヘルスケア(医療)。施術法は様々で、主に脊椎やその他の身体部位を調整することにより、痛みの軽減、関節可動域や機能の改善、身体の自然治癒力を高めることを目的としている。”※日本カイロプラクターズ協会引用
・整体師
薬を使用せず、主に手技で骨格のゆがみを矯正し、筋肉や内臓のバランスを整え、健康増進・体質改善をはかる民間療法。資格は不要です。保険診療はできません。
・理学療法士、作業療法士、言語聴覚士
痛みに対しての場合は理学療法士の方が触れる機会が多いため敢えて理学療法士の説明とします。
ケガや病気などで身体に障害のある人や障害の発生が予測される人に対して、基本動作能力(座る、立つ、歩くなど)の回復や維持、および障害の悪化の予防を目的に、運動療法や物理療法(温熱、電気等の物理的手段を治療目的に利用するもの)などを用いて、自立した日常生活が送れるよう支援する国家資格の医学的リハビリテーションの専門職です。治療や支援の内容については、理学療法士が対象者ひとりひとりについて医学的・社会的視点から身体能力や生活環境等を十分に評価し、それぞれの目標に向けて適切なプログラムを作成します。※理学療法士協会引用
病院、クリニックでは厚生省が定めた疾患であればすべて保険診療の対象です。
ただし開業権はないため、単独で開業している場合、保険診療はできません。
お疲れさまでした。長かったですね!
考え方にもよりますが、治療による考え方に違いはありますが、どの職種も技術的な点は大差ないと思っています。鍼灸師は鍼(ハリ)とお灸の道具が使えます。マッサージ師は筋肉をほぐすプロ。柔整やカイロ、療法士もそれぞれの長い歴史があり学んだ特性を生かして行っています。
整体師だけは、色んな職種が名乗れるので、この中ではちょっと毛並みが違っています。
職種 | 名称 | 保険診療 | 道具 | 特徴 |
---|---|---|---|---|
鍼灸師 | 鍼灸院 | 〇(一部) | 〇 | 鍼、灸のプロ |
あんま-マッサージ師 | マッサージ、サロン | 〇(一部) | × | マッサージのプロ |
柔道整復師 | 整骨院、接骨院 | 〇(一部、事故、労災) | × | 柔術を使った治療 |
カイロプラクティック | カイロプラクティック | × | × | 海外では準医療扱い |
整体師 | 整体院 | × | × | 整体 |
理学療法士 | 病院、リハビリテーション | 〇(病院、クリニック) | × | 姿勢・動きのプロ |
※養成校で勉強し鍼灸・あんまマッサージ師を国家試験で同時にとってしまう人もいます。
経験上どの職種でもピンからキリまでいて、どの職種でも●●先生の腕はすごい!なんて話を聞くのはよくある事です。
どこにもかかったことがなく、どこに行こうか迷う方は、近所や職場の人から聞く評判のいい先生がいるところをまずは選び、行ってみるといいと思います。
評判の先生をご指名できるようならしてみるのもありです。(システム上できないこともあります)
個人の意見をお伝えしておくと、体の動きをどのくらい想像できるかが大事という事。健康な人がどういう姿勢や動き方をするのかはもちろん、ケガや病気をして痛みを抱えたらどういう姿勢、動きになるかを理解している事が大事で、
意外と知られてないのが治っていく過程をしっかり体験しているという事なんです。
そう思いますよね?でも治療する方も人間です。学んだ知識、経験した以上のものを発揮することは中々できません。
治癒にて中には一回で良くなってしまう人もいますが、多くの人は徐々に改善していく経過をたどります。
なので良い治療家は今はこの状態になっていればOK。次の段階だ。と考えているわけです。マラソンでいう何キロ地点にいるのか?がわかっている事が、その先にあるゴールにたどり着く事ができるわけです。
ではそれをどうやって学ぶか?たくさんの知識を学んでいくこと、長く濃く数多く患者様を診る事。そしてなにより、同じ職場や環境に治せる人がいて、その人から指導を受けることができる事です。
百聞は一見にしかず。目の前で回復過程を感じ取れることが何よりの学びです。そうやってデータを積み重ねることができれば、よりよい治療家になっていけると思います。
③理学療法士の特徴
理学療法士は姿勢+動きのプロです。養成校時代から、就職しても徹底的にここを学んでいきます。この患者様は解剖学的な姿勢や動きからどのくらい変化があって、どこに問題が出ているんだろうとか考えます。人間は生活上必ず動きますから、動きも見ることができるというのは大きなポイントです。なので運動療法という動作の訓練を治療に取り入れていて、再発予防にもつながるため理にかなっています。
また性質上、病院勤務があります。医師と二人三脚で指導をもらいながら、いわゆる病気やケガによる入院患者に対するリハビリを多く経験します。手術後の急性期から回復期、退院まで入院中は毎日同じ患者様と接するため、変化の経過を日々感じ取れていきます。毎日接するような環境は、他の職種では得られない経験です。
また同じ訓練室、同じチームで一人の患者様をフォローしていくのでその場での指導が行われやすい、積極的な意見交換ができやすいです。ここに治せる先輩がいたら効果抜群です。
方法論は色々ありますが、治せるという体験は、治せない自分とのギャップを感じるきっかけになります。自分はあの人と何が違うんだろう?ここさえ常に感じ取っていければ、あとはそこの足りないものを取り込んでいくだけ。
実際に僕も病院勤務を経験し、その中に治し方を知っている先輩がいて指導を受ける事ができました。患者様の日々の回復過程をたくさん体感し、その経験から今の治療基礎ができあがり、今はある程度どこでもやっていけるレベルまでに至っていると思っています。
番外編:いい治療家を見分けるには?
こればかりは考え方と方法が実際に自分にあっているか体験しないとわからない部分が多いです。
ただいい治療家の傾向はあると思います。僕なりの傾向を上げてみます。
①活気がある事
②応接が丁寧でしっかり話を聞けること
③きちんと今の状態を説明できること
④変化が得られること
この4つです。
①は当たり前ですが、自分が元気になるのが先ですね!
②いくら腕がよかったとしても、感じが嫌な人のところには通いたくなくなるものです。
また原因を探るのに話がヒントになるのは言うまでもありません。
③ができる人は今何キロ地点かがわかっている人です。
④いくら話せても変わらなければいけないですよね。
週1回として1か月~2か月くらい通って全く変化が出ない。納得できる説明がなければ、
変更を検討してもいいかもしれません。
まとめ:治療に通いたいと思った時は…
・まずは病院・クリニックに行き、中身に問題があるかないかの確定診断をしてもらう。
腫れ、熱感、赤みがあったら選択肢はまず病院。痛みがぼんやりと鈍くなったり、
医師から体を動かしましょうと言われたら選択肢がある。
・●●師は色んな職種がある。それぞれの特性があり、どの道でも素晴らしいプロはいる。
実際に体験した人の評判を聞いて選択したほうがいい。
・理学療法士は動作、姿勢のプロ。姿勢と動きから原因を探るので理に適っている。
またチームで介入し、入院を通して毎日患者様の変化を診れる環境にあるため、
いい治療家が育ちやすい。
・いい治療は体験してみないとわからないが、いい治療家には傾向がある。
僕は理学療法士の良さを知っていますので、理学療法士の施術をおすすめしています!評判の良い病院やクリニックには必ず一人、二人は経験値の高い腕のいい理学療法士がいると思います。そういうところは全体的にレベルが高くなりやすいですね。
迷っている方。百聞は一見にしかず。まずは行動してみる事から始めてみてくださいね!
最後までお付き合いくださり、ありがとうございました!